【『パラエストラ』に日本語表記を変更】
PARAESTRAネットワークでは、日本語での名前表記を
海外などで定着している『パラエストラ』に変更しました。
なお「パレストラ」はパレストラ・ジャパン株式会社の登録商標であり、
同社および「パレストラ合気道クラブ」は当ネットワークとは別の組織です。

修斗グラップリング 公式競技ルール
Shooto Grappling Competition Rule

2006年12月14日改訂 要約版

第1章 公式試合

第1条【公式試合】
公式試合とは、日本修斗協会(以下、JSA)が承認し許可した試合をいう。ただし場合によっては、後日JSAは公式試合の取消をすることが出来る。

第2条【試合ラウンド】
ワンマッチ方式による試合のラウンド数は原則として、ひとつのラウンドを3分間とする2回戦とする。トーナメント方式による試合のラウンド数は原則として4分間の1回戦し、決勝戦のみひとつのラウンドを3分間とする2回戦とする。決勝戦は最終ラウンド終了時、獲得ポイントおよび反則数に差が無かった場合、2分間の延長ラウンドを行う。なお、各ラウンドの間には1分間のインターバルを取る。

第3条【試合の審判】
試合の審判は日本修斗協会が承認した、1名のチェアマンと 1名のレフェリーによって行われる。

第2章 審判員

第4条【資格】
チェアマン、及びレフェリー、サブ・レフェリー (以下、審判員)は修斗の技術と理念を学んだ実際的経験を有し、ルールに精通していなければならない。

第5条【技術の向上】
審判員は必要に応じて会合し、審判技術や採点結果の批判、ルールの解釈に関する問題について話し合い、審判技術の向上に努めなくてはならない。

第6条【中立、公正】
審判員は中立、かつ公正でなければならない。

第7条【不正】
審判員は買収、恐喝等のあらゆる不正に対し毅然たる態度でこれを拒絶しなければならない。

第8条【罷免】
審判員がルールの適用を誤ったり、審判上の過失を犯したりした場合、JSAの審議の上資格の剥奪、或いは停止(サスペンド)となる。

第3章 試合出場選手

第9条【規約】
試合に出場する選手は、次の事項を守らなければならない。
(1)第1試合開始時刻の30分前までに試合会場に入らなければならない。
(2)試合前に医事検査を受け、これに合格しなければならない。
(3)試合開始後は、レフェリーの許可を得ずに試合場を出てはならない。レフェリーの許可を得てリングの外に出たときは、試合役員を伴わなくてはならない。
(4)試合終了後は、速やかにリングを出なければならない。
(5)関節部へのテーピングは原則として自由とするが、試合役員の判断に応じて試合中に剥がれないようその上からサポーターを装着しなければならない。
(6)ワセリンやオイル、グリス等の油脂類、及び不快な臭いのする薬品類や化粧品類、整髪料の身体や頭髪へ塗布は、寝技、或いは組み技の攻防の妨げとなる為これを禁じる。
(7)指輪やネックレス、ピアスなどの貴金属類は、いかなる物も身に付けてはならない。

第4章 セコンド

第10条【セコンド】
1名の選手につきセコンドは3名までとし、内1名をチーフ・セコンドとする。

第11条【禁止事項】
セコンドは次の事項を守らなければならない。違反者は注意が与えられ、2度目の注意が与えられると退場が命じられる。なお退場となった者は、24時間のセコンド資格消失とする。
(1)試合前、或いはラウンド間の休憩中にリング内に入るのは、チーフ・セコンドのみでなければならない。
(2)ラウンド開始の10秒前に「セコンド・アウト」とアナウンスされたら、試合場に持ち込んだ用具と共に試合場外へ速やかに退出しなければならない。
(3)試合中試合場の内外に関わらず双方の選手の身体に触れてはならない。
(4)試合中いかなる理由であれ、試合場内に入ってはならない。
(5)マナーに反する言動は慎まなければならない。

第12条【用具】
試合においてセコンドが使用出来る用具は次の通りである。
(1)水
(2)ボトル
※インターバルで使用できる飲料は水のみ。この際、容器は透明なものを使用することを義務づける。
(3)バケツ
(4)氷
(5)粘着テープ
※テーピングは白い物または肌色のキネシオテープのみを可とし、他の色の物は使用不可とする。
(6)ハサミ
(7)ガーゼ
(8)綿
(9)綿棒
(10)タオル
(11)時計
(12)腫れ止め用具
(13)止血剤
(14)椅子

第5章 クラスとウエイト

第13条【体重制】
試合は体重制とし、そのクラスとウエイトのリミットは次の通りである。
[ミニマム級]44.0kg以下
[ストロー級]48.0kg以下
[フライ級]52.0kg以下
[バンタム級]56.0kg以下
[フェザー級]60.0kg以下
[ライト級]65.0kg以下
[ウェルター級]70.0kg以下
[ミドル級]76.0kg以下
[ライトヘビー級]83.0kg以下
[クルーザー級]91.0kg以下
[ヘビー級]100.0kg以下
[スーパーヘビー級]100.0kgから無制限

第6章 計量

第14条【計量】
試合に出場する選手は、主催者または日本修斗協会が指定した時刻(原則として試合開始の24時間前以内)に指定した場所へ出頭し、試合役員立ち合いのもと裸体になって計量しなければならない。正当な理由なく計量に遅刻、或いは出頭しない場合失格となる。正当な理由がある場合は、再度試合役員が指定した計量に出頭しなければならない。また、計量時に試合役員により爪、頭髪等のチェックを受けその処置が指示される。

第15条【規定ウエイト以外】
計量の結果規定のウエイトを維持していなかった場合、試合役員が指定した時刻の間は何度計ってもかまわない。猶予時間内に規定ウエイトに達していなかった場合、失格となる。

第7章 試合場

第16条【試合場】
試合場は以下の通りとする。
(1)試合場は日本修斗協会が本ルールに充分対応し得ると判断し承認した、3〜4本のロープを硬く張り巡らせた正四角型リング、或いはレスリング・マット、または柔道場でなければならない。
(2)試合場の床は水平で、適当な広さの残余部分を有しなければならない。
(3)試合場の床はレスリング・マット、または畳と同じ程度の硬さでなければならない。
(4)試合場の対角にある選手が入場する2つのコーナーは赤と青とに色分けし、その他のコーナーはニュートラル・コーナーとする。試合場のサイドには試合役員席を設けなければならない。
(5)試合場の照明は、試合が円滑に行える明るさを有しなければならない。

第8章 服装

第17条【出場選手の着衣】
 選手の着衣は試合中に妨げとならず、攻撃に対して防護とならない身体に密着したタイツ、及び膝上丈のスパッツおよびレスリングパンツを着用しなければならない。ただし女子選手に限り、身体に密着していないショーツの使用が認められる。使用するタイツ類は、自分のコーナーカラー(赤もしくは青)でなければならない。模様やデザインなどは自由とするが、反対のコーナー色が多面積を占めるものは不可とする。
 また上半身の着衣は攻防の妨げとならない、身体に密着したラッシュガードおよびレオタード等、もしくは裸でなければならない。なお上半身の着衣の色は自由とする。
 なお試合開始前の用具チェック時に不備が認められた場合は、30秒以内に準備が整えられなければ、装具不備で失格となる。

第18条【禁止事項】
素手素足で行うものとし、規定の着衣以外いかなる物も着用してはならない。

第19条【出場選手の防具】
選手は日本修斗協会の許可を得た、サポーター、マウスピース、ファールカップなどを任意で着用することができる。

第9章 衛生

第20条【出場選手の衛生】
選手は次の事項を守らなければならない。
(1)身体や頭髪は、清潔かつ衛生的でなければならない。
(2)着衣や装備は清潔で、かつ不快な臭いのない乾燥したものでなければならない。
(3)手や足の爪は対戦者の皮膚を傷つけぬよう、短く処置しなければならない。
(4)長く伸びた頭髪は、試合役員の判断に応じて束ねて結ばなければならない。
(5)髭は剃りたてか対戦者に不快感を与えない程度に伸ばした状態でなければならない。

第10章 試合の勝敗

第21条【勝敗の決定】
勝敗の決定は次の通りとする。
(1)一本
関節技や絞め技を施された選手が、「ギブ・アップ」、または「参った」と言うか、或いは対戦者の身体やマットを手や足で連続して2度以上叩く(タップ)などしてギブ・アップの意志表示をしたり、 関節技や絞め技が極まったとレフェリーが判断した場合。双方の選手が同時に一本を取った場合(ダブル一本)、ワンマッチ方式ではドローとなり、トーナメント方式ではそれまでの採点の結果による判定で勝敗を決定する。
(2)テクニカル・ノック・アウト
(以下、Technical Knock Out=TKO)
a.投げ、関節技等によるダメージや負傷のため、試合続行が不可能であるとレフェリーが判断した場合。
b.投げ、関節技等によるダメージや負傷のため、試合続行が不可能であるとドクターが判断した場合。
c.ダメージの有無に関わらず過度の出血が認められた場合。
d.セコンドが試合場内にタオルを投入したり棄権を申し出た場合。
(3)ポイント判定
試合終了後、獲得したポイント数が多い者を勝者とし他を敗者とする。獲得したポイント数が同じである場合は、減点の数が少ない者を勝者とする。獲得ポイント、減点がともに同数である場合は、ワンマッチ方式ではドローとなり、トーナメント方式ではレフェリー判定を行う。なお、判定結果は採点の記載や集計の誤り、或いは審判員に不正があった場合を除き協会以外によって変更されることはない。
(4)テクニカル判定
偶発的な事故による負傷、或いはダメージにより、一方または双方の選手の試合続行が不可能になった場合、または災害や設備の破損等、試合続行を不可能に至らしめるような事態が生じた場合、ワンマッチ方式ではそのラウンドが1Rならばドローとし、2Rならばそのラウンドを含めた採点の結果で獲得したポイント数が多い者を勝者とし他を敗者とする。獲得したポイント数が同じである場合は、減点の数が少ない者を勝者とする。獲得ポイント、減点がともに同数である場合は、ドローとなる。トーナメント方式では試合続行が不可能になった時点までの採点の結果で優勢な者を勝者とし他を敗者とする。獲得ポイント、減点が同数である場合はレフェリー判定を行う。
(5)レフェリー判定
トーナメント方式による試合において、獲得ポイント、減点が同数である場合、レフェリー1名によって双方の選手の攻防を相対的に評価し、優勢であると思われる選手を勝者とし他を敗者とする。なお決勝戦においては、試合終了後、獲得した獲得ポイント、減点に差がない場合2分間の延長ラウンドを行う。
(6)反則失格
a.反則行為によって与えられた減点が合計で5点となった場合は、反則失格負けとする。
bそのファウルが重大な反則または悪質である場合は、レフェリーの判断により一度の注意もなく即反則負けとなる。
c.ファウルによる負傷、或いはダメージが原因でファウルを受けた選手の試合続行が不可能であるとレフェリーが判断した場合、ファウルを犯した選手は反則負けとなる。ただし、レフェリーの判断により休息を与えた後、試合を続行することもあり得る。
d.試合開始前の用具チェック時に不備が認められた場合、30秒以内に準備が整えられなければ、装具不備で失格となる。
(7)延長ラウンドでのサドンデス・システム
トーナメント方式による決勝戦の延長ラウンドのみ、2ポイント先取で勝者となるサドンデス・システムで行われる。

第11章 採点

第22条【組み技の採点基準】
組み技の採点は、次の様に評価される。
(1)テイク・ダウン
1ポイント=サイド、ニー・プレス、マウント、バック、バック・マウントに繋がるテイク・ダウンを奪った場合。
(2)アクション
1ポイント=トップ(グラウンド・ポジションにある対戦者を上から制した状態)を奪った場合。
(3)ポジショニング
a.1ポイント=ハーフ
グラウンド・ポジションにある対戦 者を一方の足を絡まれずに上から制した状態)を奪った場合。
b.2ポイント=サイド
グラウンド・ポジションにある対戦者を足を絡まれずに胸 を合わせて上から制した状態)、及びニー・プレス(グラウンド・ポジションにある対戦者の腹部、または胸部に片膝を置き、上から制した状態)を 奪った場合。なお、ハーフからサイドに移行した場合は、1ポイントのみの加点となる。
c.4ポイント=マウント
グラウンド・ポジションにある対戦者の胴に正面、または横から跨り上から制した状態)、及びバック(グラウンド・ポジションにある対戦者の胴に背後から跨り足を掛けて制した状態)を奪った場合。
d.5ポイント=バック・マウント
グラウンド・ポジションにある対戦者の胴に背後から跨り身体を伸ばして制した状態)を奪った場合。なお、マウント、及びバックからバック・マウントに移行した場合は、1ポイントのみの加点となる。
(3)サブミッション
1ポイント=キャッチ(関節技、絞め技が極まる寸前の状態)を奪った場合。

第23条【ポジショニング・ポイントの加点】
ポジショニング・ポイントの加点方法は、ひとつの攻防の展開の中で、先に奪ったポジショニング・ポイントより高いポイントのポジショニングを奪った場合には加点されるが、低いポイントのポジショニングを奪った場合は加点されない。一旦ガード、或いはスタンド・ポジションとなり、次の展開になったと認められた場合、再び加点される。

第24条【レフェリー判定の基準】
レフェリー判定の採点は、次の順に評価される。レフェリー判定の採点は、次の順に評価される。
(1)クリーン・エフェクティヴ・オフェンス
(的確で有効な攻撃)ダメージを与えた攻撃。
(2)アグレッシヴネス(積極性)
ダメージは与えられないものの積極的で有効な攻撃。
(3)リング・ジェネラルシップ(防御)
対戦者の攻撃を無効にするような巧みな試合運び。
(1)クリーン・エフェクティヴ・オフェンス
(的確で有効な攻撃)ダメージを与えた攻撃。
(2)アグレッシヴネス(積極性)
ダメージは与えられないものの積極的で有効な攻撃。
(3)リング・ジェネラルシップ(防御)
対戦者の攻撃を無効にするような巧みな試合運び。

第25条【減点】
故意または偶然に関わらずファウルを犯した場合、その程度によりレフェリーが注意(コーション)を与え1〜3ポイントの減点となる。ただしスコア上では反則を犯した選手からポイントを差し引くのではなく、相手選手に減点と同等のポイントが加点されるものとする。

第12章 ドント・ムーブ

第26条【ドント・ムーブ】
試合中選手が試合場外へ出そうになる、または出た場合、或いはグラウンド・ポジションにある選手の着衣や装備がはずれたり、またははずれそうになった場合、レフェリーにより双方の選手にドント・ムーブが命じられる。ドント・ムーブを命じられた双方の選手は直ちに動作を止め、レフェリーが試合続行を命じるまでそのままの体勢を維持しなければならない。

第13章 膠着とブレイク

第27条【消極性への注意と減点】
一方もしくは双方の選手の消極的試合態度により試合が膠着した場合、レフェリーはその原因となっている選手に注意と減点を与えてブレイクし、スタンド・ポジションから試合を再開する

第28条【ブレイク】
消極的試合態度以外の理由で攻防が膠着し、明らかな進展がないとレフェリーが判断した場合、或いはドント・ムーブの際に故意、偶然に関わらず動作を止めた体勢を維持出来ない、または出来なかった場合、双方の選手にブレイクが命じられスタンド・ポジションからの再開となる。ブレイクを命じられた選手は直ちに攻防を止め分かれなければならない。

第14章 ファウル

第29条【ファウル】
ファウルは次の通りとする。
(1)禁じる攻撃
  a.あらゆる打撃。
  b.頭突き。
  c.指へのあらゆる攻撃。
  d.金的へのあらゆる攻撃。
  e.背後から頭部を抱え込み、頭部に体重をかけて頚部を極める。
  f.頭部を掴み、後頭部を床に叩きつける。(反り投げなどの投げ技は、この限りではない。)
  g.スタンドでの体重を浴びせての脇固め。
(2)禁じる行為
  a.消極的な試合態度。
  b.噛みついたり、歯を押しつけたりする。
  c.爪で引っ掻く。
  d.目、鼻の穴、耳の穴、口の中、肛門に指を入れる。
  e.目に肘や顎等を押しつける。
  f.皮膚をつまむ。
  g.頭髪や喉、鼻、耳を掴む。
  h.喉を指や掌で押す。
  i.一度に3本以下の指を掴む。
  j.指を交互に組む。手四つ。
  k.着衣や装備を掴む。
  l.ロープ、コーナー・マット等に、顔面や喉を押しつけたり叩きつける。
  m.ロープ、コーナー・マット等をてこの支点に、関節を極める。
  n.ロープ、コーナー・マット等を掴んだり、腕や脚を掛ける。
  o.ノック・ダウンしている対戦者への攻撃。
  p.ブレイクやドント・ムーブ後、レフェリーが試合続行を命じる前に攻防を再開する。
  q.ラウンド中以外の攻撃。
  r.対戦者を故意に試合場の外へ出す。
  s.レフェリーの指示に従わない。
  t.対戦者、審判員等への暴言や侮辱的行為。
  u.奇声や大声を発する。
(3)逃避行為
  a.故意に試合場の外に出る。
(4)八百長行為
  a.一方または双方の選手による出来試合。
  b.馴れ合い、或いはショー的行為を行う等全力で戦わないこと。
(5)マナーに反する行為
  レフェリーの判断により、マナーに反するとされる行為。

第15章 提訴

第30条【提訴】
試合に対する異議、その他一切の紛争について、1週間以内に文書によりJSAに提訴することが出来る。提訴を受けたJSAは提訴内容について審議を行い、判断を下し問題の解決に努めなければならない。

[編] 若林太郎(JSA=日本修斗協会)  鈴木利治(ISC)