| 06.「中井祐樹 インタビュー」
1998年 修斗オフィシャルブック 掲載
若林太郎 無記名原稿
修斗に入門したのは、北大で4年間七帝柔道をやって柔道部を卒部したあとです。上京して、雑誌でシューティングジム横浜の住所を調べて、92年8月に入会しました。なぜ横浜だったかというと、道場リストの一番上にあったから修斗の本部じゃないかと思ったんです。(笑)
最初に修斗のイロハを教わったのは石川(義将=第2代ミドル級王者)さんです。当時、火木が初心者クラスで、その講師が石川さんだったんです。修斗後援者だった方の紹介で生花市場で働きながら、ジムに通ってました。入門当時の横浜ジムは二ツ谷町のビル1階にあったんですが、翌年2月には、神奈川区松本町に移転。この頃、石川さんが家業を継ぐために大阪に帰られるということもあって、指導も手伝うようになりました。
その頃から、全日本アマ修斗の前身的なアマ・トーナメントが木口道場で開催されるようになって、その第2回大会で木口所属の西山という選手にヒールホールドで一本勝ちして、デビューすることになったんです。
当時の修斗は打撃が多かったですね。というか、寝技はできてあたりまえといわれてましたし、打投極すべてをこなすトータル思考は常識でした。いまポジショニングの発想が普及して、打撃とテイクダウンの技術が見直されている。当時の発想は、今を先取りしていたのかもしれません。
デビューしてからは、毎回試合しようとしてましたね。3戦目では朝日さんとやったし、新格闘プロレスで行われた修斗公式戦にも立候補して出場しました。だから僕が、プロレス雑誌で試合をレポートされた最初のシューターなんですよ。(笑)94年のバリジャパにも出たくて一般公募にも申し込んだんですが、先輩が優先でした。その年の11月にウェルター級チャンピオンになったんで、95年には真っ先に立候補しました。
ゴルドー戦で目を負傷したことで、裏方として修斗を支えていく立場になったのが96年からです。でも、ルミナと最後に修斗ルールでやりたいというのが、強くありましたね。ファンも見たいだろうし、当時可能なマッチメイクの中で一番盛り上がるだろうという自負はありましたから。深層心理には、選手に戻りたいというのも強くあったと思います。ルミナとの試合ですか? きっとなんらかの方法で寝かせて、がっちり押さえ込んでいくでしょうね。「やることやってれば負けない」と思っていましたね。とはいえ、それは当時のルミナとやったらという話。今のルミナは当時より格段に強くなってますから。
修斗をやりたいという気持ちは、今でも心のどこかにはあります。ただ今の選手に対する羨ましさとかは、全然ないですね。むしろ自分のことのように嬉しいし、自分やってきたことに間違いなかったという思いはありますね。やっぱり僕の人生では、修斗をやったことが一番では大きかったと思います。その血はまだ絶えていません。
最近よくアブダビ・コンバットには出ないんですかと言われるんですが、裸でやるんだったら、修斗をやりたいというの本音ですね。やりたいのは総合であり、そのために柔術があると。それにまあ僕も、そんなに器用なほうではないですから。どちらかといえば、僕は道衣の人なんですよ。道衣の寝技は一生できるものだし、精神的な意味でも、道衣に帰っていくべきだと思っています。つきつめれば、好き嫌いの問題かもしれません。道衣への愛着というのは凄くあります。それに、裸での打倒ブラジルはもう達成しかけていると思うんです。だからこそ、柔術でのブラジル越えに挑戦することに意義があると思ってるんです。もちろん簡単に達成できるような山ではないと思いますが。
パレストラを開くキッカケのルーツというのは、石川さんの言葉なんです。尊敬していた石川さんに「格闘技のジムでは喰っていけない」と言われてショックを受け、だったらいつか自分がそれに挑戦しようと思ったんです。あれが思考の基礎になっています。とにかく競技全体を考えると、まず選手を作るのが大事。でも強いだけだとただの野獣と一緒です。格闘技者だからこそ、“人間”を作っていきたいと思っています。競技として熟成してきた修斗ですが、ボクシングに比べるとまだまだすべてが脆弱です。もちろんジム運営が根幹ですが、僕自身も関係者全員と力を合わせて、競技団体としてしっかりやっていきたいと思ってます。
■解説 / 若林太郎
修斗ブーム全盛期に出された「修斗オフィシャルブック」でのインタビュー原稿です。回は修斗入門からパレストラ設立までの経緯が簡潔に語られています。意外にも私が中井さんにインタビューをした原稿というのは多くて、中井さんのインタビュー初体験となった94年秋の格通のものや、初めてVTJ95での目の怪我を公式に語った「プロレスの達人」でのインタビューなどがその代表的なものです。これらもいずれ当コーナーにアップしたいと考えています。
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